看護師の慢性的な人手不足の一つの要因となっているのが、労働環境です。
看護師という仕事は入院している患者が病院にいるような状態だと24時間人手が必要となります。病床を有している病院では夜勤勤務もありますし、緊急の手術が入った時などは休みであっても急な出勤を命じられることも少なくありません。そのため、プライベートの確保がとても難しく、特に結婚や出産を控えた看護師は退職を余儀なくされるケースもあるようです。

労働環境による離職の対策としては、看護師一人一人のライフスタイルに合った、柔軟な働き方ができる環境を整備していくことが有効といえます。たとえば、妊娠や出産を控えていたり、子育て中の看護師に対しては日勤のみの働き方を許可したり、場合によっては時短労働も許可するなど、無理なく働ける環境を提示する必要があるでしょう。

その他に、自身のキャリアアップを理由に、現在働いている病院から別の病院へ転職するという場合もあります。この問題を解決するためには、院内の研修制度を充実させるという対策が有効です。たとえば、専門分野の知識を深めたいという看護師に向けて、専門看護師や認定看護師の資格を取得するための研修制度を設けるようにすると、キャリアアップの意欲を持っている看護師のニーズを満たすことができるでしょう。
自分の病院で働いている看護師に新たなスキルや知識を身につけてもらうことは、その看護師の要望を満たすことになるだけではなく、病院にとっても優秀な人材を育成できるというメリットがあります。
また、資格を有する看護師の復職をバックアップすることも、離職対策として有効になるでしょう。その理由は、近年、離職後に潜在看護師になる人が多いためです。そこで、国ではさまざまな対策を講じています。その一つである再就職支援プログラムは全国各地で推進されており、看護師の人手不足解消の対策としても期待が寄せられています。